モバイルキャスト

   モバイルキャストとは
 
 製品概要
 
 テレマティクスのオープン化に挑戦(1)
 
 テレマティクスのオープン化に挑戦(2)
   
   テレマティクスのオープン化に挑戦(3)

モバイルキャストとは
   会社情報
 
モバイルキャストは”Bluetooth”によるワイヤレスマルチリンクのハンズフリー&オーディオ製品をいち早く市場に投入し、現在日本国内におけるワイヤレス・ソリューションを牽引する企業です。 ワイヤレステクノロジーを利用した革新的なアイデアによる商品開発やサービス開発を通して、社会への提案を行っています。我々は、FMAC(固定通信・携帯通信・自動車向け通信の融合)を標榜しつつ、ワイヤレス社会インフラの構築を目指します。
 
▽本社=東京都港区虎ノ門4-3-1城山JTトラストタワー33F(電話 03-5733-5757)
▽資本金=14億9200万円
▽従業員数=35人
▽売上高=2億5000万円(2005年3月期)、※2006年3月期予想=売上高27億円、計上利益1億円
▽第二種電気通信事業者
 
 
 
製品概要
ワイヤレスで音楽を聴く
携帯電話でのハンズフリー通話を実現する
車でのハンズフリー通話を可能にする
パソコンをワイヤレス接続する
ヒューマンソリューション
   ハンズフリーイヤホン

 

 
   ソリューション
 
 
自動車メーカー向けのカーソリューションとして、通信技術にBluetoothを採用した各種カーキットを開発、販売いたしております。
カーナビ中心のカーメーカーのサービスとは異なり、オペレーターを介在させる快適なコンシェルジュサービスを開発しました。 これにより運転中、車内で様々なきめ細やかなサービスを受けることが可能となります。
世界最小の無線式生体情報センサーを利用して、さまざまなヘルスケアソリューションを提供します。 無線式生体情報センサーとは、体表温・心電・心拍・3軸加速度(XYZ軸)の身体の状態を測定するチップ型センサーです。
 
 
モバイルキャストがプロデュースする、モバイルフォン向けコンテンツサービス。 テレマティクスサービスのシステム構築ノウハウが活かされたアプリケーションサービスで様々な業種・業態でのサービス開発が可能です。
 
   取り扱い店舗
 
家電量販店
  ビックカメラ
ヨドバシカメラ
さくらや
ヤマダ電機
ケーズデンキ
コジマ
ベスト電器
デンコードー
ラオックス
東急ハンズ
セキド
カー用品店
スーパーオートバックス
オートバックス
ジェームズ
モンテカルロ
ドライバースタンド
イエローハット
オートウェーブ
カレスト座間店
 
カーメーカー・カーディーラー
  トヨタ
ダイハツ
マツダ
クライスラージープ 所沢
クライスラージープ 鶴ヶ島
 
携帯ショップ
  ドコモショップ(お取り扱いの無い店舗もございますので、店舗までご確認ください)
携帯の王様
トップワイジャパン
 
カーオーディオ専門店
  オートフレンズ
泉州オーディオ
SOUND 21
その他
  オシュマンズ
新宿TSUTAYA
 
 
テレマティクスのオープン化に挑戦(1)
   都市計画プランナーが描く自動車IT化の未来
 

 車を運転しているときに、手に携帯電話を持たずに通話ができる―「ハンズフリー(hands free)」の商品化で、いま注目を集めているベンチャー企業がモバイルキャストだ。2004年11月の道路交通法改正で、運転時の携帯電話操作に対する規制が大幅に強化されるという絶妙のタイミングで商品を投入。日本のハンズフリー市場を一気に席捲する勢いである。
  会社設立はわずか3年前の2002年7月。率いるのは、フリーのプロデューサー&コンサルタントとして活躍してきた赤池英二社長。「車をインターネットで結ぼう!」―ある時、偶然に出会った「テレマティクス」ビジネスを、日本さらに世界で成功させる夢に向かって全力疾走中だ。

 
ハンズフリー(hands free)
 
   テレマティクスとの出会い
 

 テレマティクスとは、Telecommunication(通信)とInformatics(情報工学)を組み合わせた造語で、主に自動車などの移動体に通信システムを組み合わせて、リアルタイムに情報サービスを提供することを意味する。日本でも、カーナビゲーションシステムに搭載されたVICS(道路交通情報システム)機能や、高速道路でのETC(自動料金収受システム)などのITS(高度情報交通システム)が普及し、トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業の国産自動車メーカーでもテレマティクスサービスを開始しているが、まだまだ無限の可能性を秘めた新しいビジネス領域である。

  赤池氏が、このテレマティクスに出会ったのは、2001年春のこと。NTTドコモから、立ち上がったばかりのテレマティクス・プロジェクトにプロジェクトコンサルタントとして参加してほしいとの依頼が舞い込んできた。

  2001年といえば、世界的に見て日本のIT化の遅れに危機感を抱いた政府がe-Japan戦略をスタートし、インターネットのブロードバンド化が本格的に始まった年。自動車メーカーも車のIT化に本格的に取り組み始め、トヨタの「 G-BOOK」(02年10月サービス開始)をはじめ、日産が「カーウイングス」、本田は「インターナビ」と、各社がテレマティクス開発競争に凌ぎを削っていた。

 
   新たな社会インフラづくりに挑む
 

 NTTドコモが、赤池氏に参加を求めたのは日産のプロジェクトだった。当時の赤池氏は、大規模な都市計画などにマスタープランナーとして携わっていた。総合商社の丸紅に勤務していたそのまえの80年代には、丸紅の子会社、丸紅ソリューションに勤務していた時期にはコンピューターグラフィックスなどのITビジネスに関わった経験はあったものの、テレマティクスの専門家ではなかった。

  日本のテレマティクスサービスは、トヨタのG-BOOKでもエンターテインメント系サービスからスタートしたが、「その応用は宅配便やタクシー、トラックなど営業車両や公共車両で活用することで、ビジネスとしての広がりが期待できる」(赤池氏)市場である。しかし、それを実現するには、社会インフラを新たに構築するぐらいの意気込みで、さまざまな仕掛けを作り込んでいく必要がある。そこで、プロジェクトマネージメントの経験が豊富な赤池氏に白羽の矢が立ったのである。

 
   オープンプラットフォーム化への思い
 

 自動車メーカーのテレマティクス開発の狙いは明快だった。まずは、自社が販売する車の付加価値を高めていくこと。そのために各社の開発の力点は、他社との差別化に置かれていた。

  「テレマティクスには、オープンなプラットフォームが必要ではないのか?このままでは日産のテレマティクスサービスではトヨタのCMは流さない、といったおかしな状況が生じてしまう」。

  日産のプロジェクトに参加しながら、赤池氏の中にそうした疑念が高まった。例えば携帯電話の世界を見ると、通信事業者ごとにi-モードやezウェブなどインターネットを利用できるサービス方式が異なり、モジュラージャックなどの形状までも違っている。そんな日本国内だけの囲い込みに熱を上げて、携帯電話機メーカーも追随せざるを得ない状況が続いた結果、世界市場では、ノキア、モトローラのほか、韓国のメーカー勢が圧倒的なシェアを占めてしまった。
  自動車メーカー主導ではないテレマティクスサービスを提供する―赤池氏の頭の中では、新たなビジネスモデルが描かれ始めていた。

 
オープンプラットフォーム
 
   ライセンス獲得のチャンスを生かして会社設立
 

 2002年に入って、赤池氏に大きなビジネスチャンスが訪れた。トヨタのG-BOOK向けにKDDI(au)が携帯電話技術「CDMA2000 1x」をベースに開発した車載用通信モジュールのライセンスを得ることに成功したのである。これでauの通信インフラの利用やコンテンツサービスを受信できる機器開発が可能となり、しかもどの自動車メーカーにも搭載できる環境が得られた。
 
自動車メーカーは、新型車発売の時点では様々な純正部品を自ら品揃えはするが、すでに発売済みの既存車向けアフターマーケットにはほとんど手を出さず、サードパーティ(第3者)に任せてきた。同様に、KDDIに車載用通信モジュールをアフターマーケットで取り扱いたいと申し出たところ、他に競合する相手もいなかったことから、KDDIからライセンスが認められたのである。これを受けて、02年7月、赤池氏は自ら1000万円を出資してモバイルキャストの設立に踏み切った。

 
   オムロン、双葉電子が出資、いざ開発へ
 

 会社を設立してすぐに、オムロンから事業提携の話が飛び込んでくる。01年に米セルポート社と資本提携するなど、積極的にテレマティクス事業に乗り出そうとしていたオムロンも、KDDIが開発した車載用通信モジュールに注目してライセンス供与を申請しようとしたところ、タッチの差でモバイルキャストが先に契約をしていたのであった。02年10月、モバイルキャストとオムロンは交渉わずか2カ月でモバイルキャストとの資本提携、提携発表を行った。

  さらに、車載ディスプレイ蛍光表示パネル最大手の双葉電子工業からも出資を得ることに成功する。赤池氏が熱く語るテレマティクスのビジネスモデルに、双葉電子工業の創業者である細矢礼二会長自らが理解を示し、支援することを決めてくれたのだ。
 
両社の出資で資本金14億9200万円、資本準備金7億円と一気に財務体質が強化され、商品開発に専念できる体制が整った。

 
テレマティクスのオープン化に挑戦(2)
   Bluetooth(短距離無線技術)との出会い
 

 船出はまさに順風満帆であった。KDDIの車載用通信モジュールのライセンスを獲得し、オムロンと双
葉電子工業からの資本参加も得て、モバイルキャストが最初に商品開発に取り組んだのが、車載ルーターだった。
 オフィスや住宅でも、インターネットのブロードバンド
化が進むのに伴って、通信モデムに無線LANルーターを接続して複数のパソコンを接続する使い方が一般的となってきた。車の中でも同様にインターネット利用環境を実現しようとすれば、当然ルーターが必要になってくる。
 オフィスや住宅で利用する通信回線はADSLやFTTHなどの有線だが、車の場合は全て無線。しかも無線には、携帯電話回線、無線LAN、DSRC(狭域無線通信)など様々な通信方式がある。そこで同社は、移動する車から利用できる無線通信を選んで自動的に切り替えられる機能を持つ商品開発をめざした。

 
 
   車載ルーターの商品化はペンディング
 

 車載ルーターの開発には、丸2年を要した。製品としてはほぼ完成したのだが、商品化する段階で棚上げ状態になってしまった。予想していた以上にコストがかかってしまい、商品化しても成功するのは難しいと判断せざるを得なかったのである。通信モジュールのコストがまだ高かったことや、車から無線LANを利用できるホットスポットも整備されていなかったことなど、商品化には時期尚早と言える市場環境もあって、開発は一時中断を余儀なくされた。

  会社設立のキッカケともなった通信モジュールを搭載した商品化が行き詰るなかで、大きく方向転換する必要に迫られた。それまでモバイルキャストが進めてきたのは、車と外を無線で繋ぐという発想がベースとなっていたが、別に外とではなく「車の中をワイヤレス化する」という選択肢もあった。
  ちょうど、そんな時期に出会ったのが「Bluetooth」と呼ばれる短距離無線技術だ。03年の暮れごろから、赤池氏が海外視察するなかで、ヨーロッパで車の中ではBluetoothを使って携帯電話を手に持たずに話ができる「ハンズフリー」を使うことが当たり前になっている実態を目の当たりにする。赤池氏が思い描いていたカーソリューションが、すでに欧州では実現しようとしていたのである。

 
   欧米で普及したワイヤレスハンズフリー
 

 「よーし、Bluetoothで徹底的にカーソリューションをやってやろう!」  赤池氏が、Bluetoothに大きく惹かれたのも当然かもしれない。欧州では、ほとんどの通信事業者や携帯電話メーカーがBluetoothを採用してデファクトスタンダード化していた。「テレマティクスにおけるオープンなプラットフォームを構築したい」との夢を抱いてきた赤池氏とって、Bluetoothを日本でも普及させることがその解決策になると思われた。  しかし、日本の携帯電話市場は、欧州とはかなり事情が異なっている。携帯電話の仕様も通信事業者によって異なり、コネクターの形状もバラバラ。携帯電話向けのアクセサリー類は、通信事業者ごとに開発するのが当たり前となっていた。

  一方、欧州では70%以上の携帯電話にBluetoothが装備されており、Bluetoothでやり取りする分には、どの携帯電話でも関係なく通話ができる。しかし、日本でBluetooth機能が搭載されている携帯電話はわずか1.3%(2005年9月現在)。当然ハンズフリーもほとんど普及しておらず、運転しながら携帯電話を手に持って通話しているドライバーが後を絶たない状況だった。  だが、日本でも安全運転の観点から、携帯電話を手で操作しながらの運転は危険との認識は着実に高まっていた。赤池氏は、欧州から帰国すると、すぐにBluetoothを使ったハンズフリーの開発に着手した。

 
   道路交通法改正が追い風に
 

 04年春、赤池氏は、警察庁が道路交通法の改正案を国会に提出するとのニュースを知る。モバイルキャストにとっては、まさに絶妙のタイミングで、運転中の携帯電話使用に対する規制強化が動き出した。その後、国会審議も順調に進み、11月には改正法が施行されることが決まると、自動車メーカー各社は一斉に、「ハンズフリー」を探し始めた。
 日本で他社に先駆けていち早く「ワイヤレスハンズフリー」の開発に着手していたモバイルキャストは、同年6月からシガーライターソケットに差し込むタイプのBluetoothハンズフリーユニット「Drive blue」を発売した。Bluetooth機能を装備した携帯電話とワイヤレスで通話できる装置だが、もともと日本にはBluetoothを搭載した携帯がほとんどない。引き続き携帯電話にBluetooth機能を付加できるアダプターの開発を進め、11月からNTTドコモのFOMAシリーズ用アダプターの販売を開始した。道路交通法の施行に、何とか間に合わせることができたのである。
 モバイルキャストは、11月時点で商品供給が可能な数少ないベンダーとして脚光を浴び、トヨタ自動車からはハンズフリーのオフィシャルサプライヤーに選ばれた。さらにフォルクスワーゲンとアウディにも純正部品として採用されることになった。

 
mclip audio
 
   商品ラインを強化、 音楽プレーヤーとも接続
 

 ハンズフリーは、携帯電話だけのアクセサリーではない。モバイルキャストでは、今年(05年)3月にイヤホン型のハンズフリーユニットを追加して商品ラインアップの充実を図るとともに、携帯電話に加えてポータブルオーディオプレイヤーにもワイヤレスで接続できるハンズフリーユニットを発売した。Bluetoothハンズフリーユニットは、車の中を飛び出して、さらに市場を大きく拡大しようとしている。

 
 
テレマティクスのオープン化に挑戦(3)
   アントレプレナーインタビュー
 

――日本ではテレマティクスと言えば、カーナビ中心の発想がありますね。
 
「世界中みても、日本ほどカーナビが普及している国はない。安全運転を考えれば、カーナビを操作しながら運転するのは危険なはずだが、あまり厳しく規制されずに許されてきた面もあった。私も当初は、車の車載端末をつなぐことばかりを考えていて車載ルーターも開発したが、実際にテレマティクスを使うのは車だけではなく、人が中心であるはず。そう考えれば、車載にこだわらず、個人がいつも持ち歩いている携帯電話をテレマティクスの通信インフラとして使うというモデルも考えられるのではないかと思った」

 
――車の通信インフラには様々なものが導入されてきました。
「3G携帯であれば、パケット通信機能もあってデータ通信もできる。 “人”を中心に考えれば、携帯電話という既存の通信インフラを車の中でいかに安全に利用できるようにするかが重要。そうした考え方をベースに、モバイルキャストでは『3Gパーソナルテレマティクス』を提唱している。カーナビのような車載端末でのテレマティクスを指向する日本の自動車メーカーとは違った方法で、独自のテレマティクス・サービスを実現することを目指している」

――ただ、日本ではBluetoothそのものがあまり普及していません。
「日本でBluetooth機能が搭載された携帯電話は、2005年4月の時点で全体の1.3%にとどまっていたため、モバイルキャストでは、まず携帯電話にBluetooth機能を付加できるアダプターを開発。これにより国内の9割の携帯電話をカバーできるようになった。携帯電話メーカー動向も、ここに来て風向きが変わってきたという感触がある。Bluetoothを搭載する機種は、06年夏には10%ぐらいと予想していたが、各社がBluetoothを搭載する方向に動き出してきている」

――Bluetoothを携帯から、音楽の分野へと広げてきましたね。
「カーソリューションをめざすうえで、まずは車の中でストレスなく通話ができるようにするということを実現したかった。さらに車内空間は極めてプライベートな空間。日本の住宅事情を考えると、部屋で音楽を大音量で聴くことは難しくても、車の中であれば好きなように聞くことができる。通話(コミュニケーション)と音楽(エンターテイメントの2つをカーソリューションのさきがけとして広めていきたい。」

――Bluetoothを使うことで何ができるのでしょうか?
「Bluetoothの特徴は、プロファイルと呼ばれるソフトウェアを持った短距離無線通信技術であるという点。プロファイルの種類によってできることは異なる。ハンズフリープロファイルと音声認識によって、電話がかかってきたときに、ハンドルから手を離さずに音声命令を認識して電話を取ることも可能となる。データ通信用のプロファイルが入っていれば、携帯の電話帳をカーナビのモニターやハンズフリー専用モニターに転送して表示することができるし、音楽用のプロファイルが入っていればワイヤレスでステレオサウンドを聴くだけでなく自由に選曲してボリュームも変えることができる。ハンドルから手を離さずに携帯も音楽も操作できれば、運転にもさほど支障をきたすことなく車内空間での時間を楽しむことができる。ソフトウェアのバージョンアップによって、可能性はもっと広がる。ただ、現在の日本で使える携帯電話には、ハンズフリーのプロファイルしか搭載されていない。」

――日本は、かなり遅れている。

「ノキアやモトローラは、携帯電話にデータ通信用のプロファイルを積極的に搭載し始めているし、サムソンは他社に先駆けて音楽用のプロファイルを携帯電話に搭載し発売を開始した。当社も音楽用プロファイルを搭載したアダプターを開発し既に商品を販売している。国内では最先端のプロダクトだと自負している。さらに欧米の自動車メーカーは、VRM(ビークル・リレーション・マネージメント)の観点からテレマティクスを推進している傾向がある。人間も予防医学によって健康を維持するように、車もタイヤの空気圧やエンジンオイルなどの状態を常時モニタリングし、Bluetoothなどの通信を活用して情報をセンターに送り、管理する。また環境(エコ)対策の観点からもテレマティクスの需要はある。自動車の使われているメカニックのあらゆる配線がワイヤレス化すると車体の軽量化につながる。」

――利用者の視点に立ったアプリケーションが大切ですね。
「既に運用しているサービスとして『アウディ・クラブ・コンシェルジュ』がある。アウディのハイエンド・モデルの車種のオーナーに、道路交通情報や駐車場情報の提供から、ホテルやレストランの予約までも行うコンシェルジュサービスである。また、スクールバスに端末を搭載して、父兄や学校の先生の携帯に運行状況などの情報を提供するサービスもすでに運用している。子供の安全確保ということで、行政の関心も高い。さらにハンズフリーは携帯電話だけでなく、PHSやIP電話などのビジネスマーケットにも広がり始めている」

――最後に起業をめざしている方にアドバイスを。
「うまくビジネスが回り始めたから言えることかもしれないが、自分でこうだと思ったことは最後までやり通すことが大切だと思う。私が丸紅を辞めたキッカケとなったのは、まだ立ち上がったばかり事業への出資を求めた際に、上司が『不透明なことだからやらない』と言って断ったこと。新規事業が不透明なのはいつの時代だって当たり前のことで、それを成し遂げなければソニーもホンダも生まれなかったはずだ。最初のチャレンジには潜在的なパワーが必要だ。思いを貫き通すこと、信念を忘れないことが周囲の人たちの信頼を得ることにつながり、その人たちに支えられて事業が成り立っていく。感謝の気持ちを忘れてはいけない。最近は、株式公開を急ぐベンチャー企業も少なくないが、モバイルキャストは地に足の付いた経営をし、社会に貢献することを目指したい」